8年目血管外科医の日常

血管外科医の日常について書いています

初期研修のローテーションの組み方について

お久しぶりです

今回は、今現在のことというよりは以前のことを書いてみたいと思います

そろそろマッチングも始まり初期研修のローテーションについても検討を始めている人も多いかと思います

そんな人たちに向けて、自身の体験をもとにおススメのローテーションの組み方を書いてみます

僕の初期研修ローテーションについて

僕が初期研修を受けた8年前は今と同じように必修の選択科目とその他の自由枠がありました

必修の内容と機関については今とは異なる部分もあると思います

僕のころは

・内科 6ヶ月以上

・救急 3ヶ月以上

・麻酔科 or 外科 or 小児科 or 産婦人科 1ヶ月以上

・精神科 1ヶ月以上

・地域医療 1ヶ月以上(ただし2年目に選択)

これが必修でした

そのため、2年間の初期研修期間があるものの、実質自由に選べるのは12ヶ月でした

今はもう少し少ないかもしれません

そんな中で僕が行った初期研修のローテーションはこんな感じでした

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志望する血管外科をローテーションの最初と最後に据え、その他は関連する診療科をまとめました

内科系は同じ循環器系の循環器内科、併存疾患で多いDMを診るDM内科、術後合併症として多い脳梗塞を診る神経内科、喫煙関連合併症となる呼吸器内科を選択しました

麻酔科は人を死なないようにコントロールする(全身管理をしっかりと学ぶ)という意味で目一杯の3か月入れました

その他の外科については、外科専門医取得のために必要な症例数(消化器外科60例、乳腺・甲状腺10例、呼吸器10例、体表リンパ節10例、内視鏡20例)がしっかりと集まり切るように選択しました

後は空いた部分で必修を押し込んだ感じです

 

このローテーションを組んだことで得られたメリット

①最初と最後に志望診療科を入れる

このメリットはかなり大きいと思います

研修医になりたての頃は、右も左もわからず何もできません

そんな中で志望診療科の雰囲気や仕事のペースを感じつつ、この先に学ぶべき内容を実感できる非常に有益な期間でした

そして、ローテーションの最後に再度回ることで、研修医2年間の総まとめをしつつ、まだ足りない部分を再確認できました

研修医期間だからこそ、どんなに基本的なことでも質問できるというメリットがあるので、この2階のローテーションの意義は大きいと思います

また、最後にもう一度回ることで、本当に入局していいのかを再確認できるメリットもあります

その時点で体に合わないようなら、無理せず他の医局や診療科を検討した方がいいと思います

②専門医取得に必要な診療科を入れる

これも後々大きく影響してきます

専門医試験を受験するために必要な条件として、外科の場合は経験症例数が求められます

執刀数や自身の専門領域の症例については後期研修中にいくらでも経験できますが、そうではない領域についてはなかなか取得しにくくなります

自身が入局、就職する科の行っている手術領域を確認して、必要なものは研修医期間に取得しきってしまっておけば、後期研修以降は自身の専門に集中することができます

血管外科を目指す場合には消化器外科関連(必要症例数が多くて大変)と内視鏡外科、小児外科(16歳以下という条件が厳しい)最後に外傷(最終的にはお金で解決できる)を優先的にローテーションしておくことをおススメします

乳腺などの内分泌外科は消化器外科と一緒にやっているところが多いので、積極的に手術に参加すると簡単に集まります

③内科は関連診療科で固める

これは個人的な部分も入りますが、内科が嫌いです

とにかく朝から晩までカンファレンスばかりで、カンファレンスのためにカンファレンスをしているような印象です

そこで、そんなつらい内科の期間(外科志望の場合は6ヶ月の必修がかなりネック)を無駄にしないために、血管外科に関連する疾患を扱う診療科だけを選びました

そうすることで、その診療科で学ぶべきことを絞り、先に指導医に伝えることで研修の充実度がかなり高くなりました

僕の場合は

・循環器内科:心エコーをできるようになる、循環器系の内服薬に慣れる

・DM内科:周術期の血糖コントロール(ヒューマリン)や内服薬の使い分けに慣れる

神経内科:神経診察に慣れる、MRIに見慣れる

・呼吸器内科:肺炎の加療に慣れる

各診療科ごとにこのようなコンセプトを立てて、これを達成できるようにローテーションしました

その結果、嫌な内科の期間も何とか充実させることができました

④麻酔科をしっかりと回る

これは血管外科医として働きだしてからかなり大きなメリットがあります

大血管術後は挿管下でICUに戻ります

その際の全身管理については麻酔科で学んだことが大きく生きています

また、挿管やルート確保といった手技もたっぷりとこなせるので身につきやすいです

さらに、麻酔科は自科の入院患者がいないので、手術終了後にたっぷりと復習する時間が取れるのもメリットです

その日に気になった薬のことやできなかった手技についてしっかりとその日のうちに復習できるのは、他の科には無い大きなメリットでした

 

このローテーションで後悔していること

このようなローテーションを組んで研修をしたうえで、いくつか後悔していること、注意点がありますのでそれも書いておきます

後悔していること

後悔していることは小児科研修を入れなかったことです

もともと子供が嫌いだったこともあり、小児科にはかなりの苦手意識がありました

そのため、研修ローテーションからも問答無用に外しました

その結果、現在集中治療室の 当番の際などに小児の対応をすることがあるのですが、毎度毎度予習しないといけない状態です

1ヶ月でもいいから小児科に回って、基礎的な部分だけでも体感しておけばよかったなと思います

注意点

このローテーションの注意点ですが、すでにお気づきの方も多いかと思いますが、1点集中型ということです

血管外科医になるためだけに選んだローテーションなので、途中で他科に移ると決めたときにはかなり苦労しただろうなと思います

このローテーションで転科が可能な選択肢は麻酔科か救急科くらいです

僕のように強い意志をもって一つの診療科を目指す場合にはこのくらい一転集中でもいいと思いますが、まだ少し悩んでいるようであればもう少し幅を持たせた方がいいかもしれません

具体的には、血管外科の配分を2+2の4か月、麻酔科を2か月として、空いた3か月をほかに考えている診療科に割り当ててみるとバランスが取れるのではないかと思います

 

まとめ

僕の経験をもとに初期研修ローテーションについて書いてみました

いろいろと悩む部分はあると思いますが、ぜひローテーションの最初と最後に2か月ぐらいずつ志望診療科を回ってみてください

そうするだけで、2「年間の初期研修期間がかなり充実したものになると思います

これから大変な時期に初期研修をする皆さんの研修期間が、少しでも充実したものになることをお祈りいたします