8年目血管外科医の日常

血管外科医の日常について書いています

ステントグラフト関連の資格に関して 今年乱獲したので実体験をまとめてみる

今回は資格に関する記事です

血管外科医として取れる資格は多数ありますが、今回はステントグラフト内挿術に関するものです

今年、専門医資格を取得したので、まとめていくつも資格を取得しました

その経験をまとめておきます

ステントグラフト内挿術とは

ステントグラフト内挿術は大動脈瘤に対し施行する血管内治療のことです

伝統的な開胸、開腹手術とは異なり、足の血管からアプローチできるので、患者さんの負担も外科医の負担も小さく、非常に良い治療です

しかし、分枝の問題やアクセス、長期成績などから万能な治療法ではありません

とはいえ、その低侵襲さ故、高齢化の進む日本では今後施行症例が増えていくと考えられます

 

ステントグラフトを施行するためには

ステントグラフト内挿術を行うためには資格が必要となります

日本ステントグラフト実施基準管理委員会のHPに詳細が書いてありますが、胸部、腹部それぞれで資格が必要で、さらに使用するデバイスごとに実施医、指導医の資格が設けられています

基本的には、基礎経験という基本的な手技を経験し、基礎経験番号を取得します

その後、指導医の下で規定された症例数を施行することで実施医に、さらに症例を重ねることで指導医になることができます

実施医、指導医を取得するために、血管外科、放射線科、循環器内科の指導医が求められるので、ステントグラフトを実施したい方はこれらの診療科に進む必要があります

 

それぞれの資格について

それぞれの資格について簡単に書いておきます

基礎経験番号

まずは基礎経験番号についてです

これは胸部、腹部別々に必要です

それぞれの条件と血管外科医として取得する際のコツについて書いてみます

①アクセスとなる腸骨動脈領域の血管内治療経験

この領域に関しては循環器内科や放射線科の方が強い領域です

かなり条件が厳しく、ステントグラフト内挿術の一環として施行された手技や  Viabahnという末梢血管用のステントグラフトを用いた手技はカウントされません

そのため、研修医の間に循環器内科や放射線科で必要症例数を経験させてもらっておくことをおススメします

入局後はなかなか稼ぎにくい部分です

②頚部分枝、開腹手術経験数

これは入局後に経験できます

頚部分枝結構再建術経験数(胸部)、腹部大動脈手術経験数(腹部)がそれぞれ求められます

いずれも意識して参加して稼ぐようにしてください

③ステントグラフト内挿術の経験数

最後に、実際のステントグラフト内挿術へ助手として参加した件数を求められます

これも入局後でも十分に確保できます

 

実施医基準

基礎経験番号取得後に、各機種ごとにメーカー主催の座学を受講し、その後指導医の症例見学を1例、さらに指導医の下で2例の実施を行うと取得できます

各機種ごとに実施医を取得する必要があり、実施医がないと指導医になれないので、自施設にどのデバイスの指導医がいるかを確認しておく必要があります

指導医資格を2機種以上取得すると、その他のデバイスの実施医は申請だけで取得できるので、まずは胸、腹共に2機種実施医を目指しましょう

 

指導医基準

実施医の資格を取得したら今度は指導医を目指します

指導医を取得する前提条件として、専門医資格が必要になります

指導医申請に使用できる専門医資格は、血管外科領域では外科専門医か脈管専門医か心臓血管外科専門医です

脈管専門医は外科専門医がないと取得できないので、実質外科専門医を取得した時点で条件を満たしていれば申請することになります

第1機種目は10例の実施、2機種目以降は5例の実施が求められるので、施設自体でステントグラフト内挿術の実施件数が少ないとなかなか取得は難しくなります

実施医の資格を有しているため、ステントグラフト内挿術実施に当たり指導医が必ずしもいなくても問題ありません

 

資格取得のために注意しておくべきこと

実際に僕が経験してきたうえで注意しておくべきことをまとめておきます

①手術記録は必ず取っておく

助手の際の経験も含め、手術経験の照明には手術記録のコピーが求められます

研修医のころや他科で経験した症例などに関しては手術記録をしっかりと取っておかないと申請の際に使用できません

医師免許取得後、血管外科やステントグラフト内挿術を目指す場合には、意識して手技記録、手術記録をコピーして保存しておくようにしましょう

②オーダーシートを必ず書いておく

これも申請の際に必要です

各デバイスごとにメーカーの指定したサイジングシート、オーダーシートがあります

しかし、実際は自身でCTを3Dにして計測し、絵をかいてサイズを書き込んでメーカーと相談することがほとんどです

すくなか卯とも僕の経験してきた病院ではすべてこの方式でした

しかし、実施医、指導医申請の際には、すべての症例でメーカー指定のオーダーシートの提出が求められます

そのため、最初のサイジングの歳から意識してオーダーシートを記入し保存しておくようにすると後々楽になります

③早めにステントグラフト内挿術に興味があるという意思表示をする

前述の通り、ステントグラフト関連の資格にはかなりの症例経験が必要になります

そのため、早い時期から優先的にステントグラフト内挿術に関わらせてもらっておかないとなかなか必要な症例数を経験することができません

早い段階で血管内治療に興味があることを宣言し、積極的にかかわらせてもらっておくことをおススメします

 

今年取得した資格について

ここでちょっとだけ僕の話です

今年外科専門医を取得したのでステントグラフト関連の資格も一気に申請しました

基礎経験番号は以前から持っており、症例経験も十分にありました

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すでに胸部ステントグラフト内挿術実施医を3機種持っていましたが、今年に入ってから

胸部ステントグラフト内挿術 指導医 2機種取得、実施医 1機種申請中

腹部ステントグラフト内挿術 実施医 2機種取得、指導医 1機種取得、1機種申請中 実施医 1機種申請中

という状態です

今後腹部の指導医 2機種目が返ってきたら残りの実施医 2機種も申請予定です

申請費用は 指導医 1万円/機種、実施医 5千円/機種 なので、申請料だけでもかなりの費用が掛かってしまいます

しかし、資格がないとどうにもならない分野なので今後も取得していきたいと思います

 

資格認定のスケジュールに関して(体験からの予想)

ここからは僕の今年の体験からの予想の話なので、100%正しいかはわかりません

実はステントグラフト管理員会の資格認定についてはかなり遅いと以前から言われていました

申請してから何か月も返事がなかったり、やっと返ってきたら書類不備でまた一から待ちぼうけだったりという状態でした

ここ最近は改善されてきているようです

今年1年で数多くの申請、承認を経験すると何となく法則が見えてきたので、書いてみます

①申請書類は毎月15日付でまとめられる

これは書類不備で返ってきた経験が2度ありますが、いずれも15日付で受付されていました

提出した日はそれぞれ全然違ったので毎月15日前後で一区切りになっていそうです

②資格認定は月初め

これも返ってくる資格の認定日が毎月1-5日の間なのでおそらくそうなのだと思っています

実施医も指導医も関係なさそうです

③実施医は1か月後、指導医は2か月後に認定される

これも今年取った資格の認定日、申請日をGoogleカレンダーに入れ込んだ結果導き出されました

受理月は含めずにカウントになります

 

つまり、7/10日に申請すれば、7/15日に受理され、8月の審査にかかり、実施医なら9月、指導医なら10月に認定される感じです

15日を過ぎてしまうと1ヶ月余計に待たないといけないので、取得条件を満たした際は早めに申請手続きをするのが良いと思います

あくまで、体感での感触なので、違っているかもしれませんが、僕の資格取得のスケジュールを見返してみるとこんな感じでした

最近はあまり学会の再歳時記などは関係なさそうで、毎月コンスタントに返ってくる感じです

 

まとめ

ステントグラフト関連の資格についてまとめてみました

多数かつ多彩なの症例経験を求められるので、希望する方は早めから意識して経験を積んでいくことをおススメします