8年目血管外科医の日常

血管外科医の日常について書いています

血管外科医の専門医資格

今回は専門医資格について書いてみます

血管外科専門医という資格はありません

実はこれが結構ややこしい部分です

 

新しい専門医制度ができて、専門医認定機構的な組織が専門医を認定していく形になりました

これまでの学会認定の専門医ではなくなったので、取得までのプロセスが大きく変わったり、2階建てという枠組みから外れた専門医資格もあります

 

血管外科自体は外科の一領域なので、まずは外科専門医を取得するのが必要不可欠です

取得までは最短で5年かかります

僕は新しい専門医制度ではないので、カリキュラム制ではなく症例経験を積んで条件を満たしていくタイプでした

最低5年間の修練期間が必要で、その中で必要な症例数の経験をすると5年目に筆記試験が受験できます

それに合格すると6年目に面接試験が受験できて、そこに合格して晴れて外科専門医ということになります

外科専門医取得までの道のりについてはまた別の記事にしてみたいと思います

 

この後にサブスペシャリティという専門領域の専門医を取得することになります

 

血管外科の場合、ここからが悩ましいところです

一つの選択肢は心臓血管外科専門医の取得です

これは、胸部外科学会、心臓血管外科学会、血管外科学会の3学会から認定されている専門医資格で、今後は2階建ての2階に当たる専門医資格です

心臓外科医は問答無用にこれを取得します

血管外科医も多くはこの資格を取得することになります

しかし、この資格の取得には40時間以上のoff the job trainingや、5例の人工心肺実習、多数の心臓血管外科手術経験が必要です

また、学会も上記3学会のうち2つに在籍し、修練登録から3年以上経過していることが条件です

しゅとくの条件も厳しく、維持も大変な資格です

一応、僕はすべての条件を満たしましたが今年は受験しませんでした

 

心臓血管外科専門医以外の方法としては脈管専門医という専門医資格があります

これは血管、リンパ管をメインの疾患とした脈管学会の専門医資格です

残念ながら2階建ての2階部分には認定されなかったので、今後同案っていくかは不透明な専門医資格ではあります

しかし、血管外科医として仕事をしていくにはとても便利な資格です

この専門医資格を持っていればステントグラフト、下肢静脈瘤血管内焼灼術のいずれも指導医資格を取得できます

維持も脈管学会に参加し、発表していれば可能なので負担も少ないです

取得は初期研修が終了後に6年以上の脈管認定施設での研修が必要なので、僕が受験できるのは来年以降になります

僕はこの資格で生きていこうと考えています

 

この他の専門医資格についてはこの先の専門医制度だと取得が難しくなってくると思います

 

専門医制度が大きく変わり、専門医を持つ意味が変わりつつあります

現状、専門医を持っていても何もメリットはありませんがこの先は専門医がないと仕事ができなくなる可能性もあるのが怖いところです

少なくとも外科専門医は必須となるような気がします

 

血管外科として生きていく上では、外科専門医+脈管専門医という組み合わせが他の資格取得を考えても最強の組み合わせで負担も少なくて済みます

さらに、血管外科学会認定血管内治療技術認定医の資格(9年目以降に取得可能)を取ってしまえば、viabahnの実施医もとれるので、もう取りこぼす資格はなくなります

 

もちろん、医局の中で生きていくには心臓血管外科専門医の受験資格だけはしっかりと満たしておくことで、敢えて取っていないということを示す必要もあると思います

 

心臓外科医が強い医局では、どうしても血管内治療は蔑視されがちです

そんな中でその道を進んでいく意思表示として、脈管専門医を選択するのはありだと思います

この先の専門医制度の変遷を見つつ、来年は脈管専門医試験に挑戦したいと思います

 

これから血管外科を目指す方で、医局説明会などで心臓血管外科専門医の資格について説明され、かなり厳しいなと感じた方は、こういった選択肢もあるので安心してください

最終的には、心臓外科とは比べ物にならないくらい資格を取って、資格に守られながら仕事をしていくことになりますので、どういった研修をしてどの資格を取っていくかを戦略的に考えていくことが必要です

 

心臓外科の医者の話だけでなく、血管外科、血管内治療医の話も良く聴いてキャリアを考えてください